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「今思えばあの頃は幸せでした。忍び寄る足音にも気づかずに。」
私が初めてヤツラを見かけたのは玄関先でした。
帰宅して玄関を開けた瞬間、足元を「何か」が横切ったのです。
気のせいか、と家に入る私。待っていたのは妻。
妻 「・・・・・・・・・ネズミッ!!!」
待ってくれ。
貴女のために働いて、働いて、働いて帰ってきた亭主をいきなり「ネズミ」呼ばわりとは何事でしょうか奥さん。
そういえば友達が離婚訴訟を起こしているとか何とか言ってたなぁ。
コヤツも同じ女として感化される所があるのだろうか・・
それにしてもこんなに目を見開いて、必死の形相で言わなくてもなぁ・・・・
思えば最近仕事ばっかりで遊びにも連れて行ってなかったし、休日は寝て過ごすことがほとんどだ。
すまない妻よ。こんな夫を支えてくれてありがとう。そしてさよ・・
妻 「ネズミがいた!!!」
泣けてきた。。
コレはもうだめかもわからん。。
妻 「ネズミがいたの! さっき! ホラ台所に!」
台所に俺を連れて行こうとする妻。
ああ! さっき玄関にいたのはネズミだったのか! なんだなんだ、驚かせやがって!
私 「へぇ〜珍しいな・・ 最近ネズミなんて見なかったからなぁ、はっはっは。」
妻 「なに笑ってんのよ! ホント気持ち悪かったんだからね!」
ふっ、かわいいやつめ。そういうことなら話は違う。話が違うなら気持ちも違う。
だがその顔は怖い。やめてくれ。
私 「もう大丈夫だって。ネズミもほら、ハムスターとかかわいいだろう? 彼らも住処を追われて大変なんだよきっと。もう出ないだろ〜。」
妻 「ハムスター!? あれのどこがかわいいの!? 信じられない! 住処とか関係ないし! 絶滅すればいいんだわ!」
ひどい! ひどいぞ妻! ホントに心の底から信じられない、というような顔だ。
まぁ今日のところは寛容な精神で接してやろう。
たまには遊びにも連れて行ってやろう。
妻のこんな表情を見るのは「私がお好み焼きでごはんを食べることを知ったとき」以来のような気がするし、なんだか懐かしく思ってしまうのであった。
しかし私は気づかされることになるのです。
妻の正しさを、そしてヤツラの存在を。
⇒ ねずみ発見
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